目次
トラクター用アタッチメントには多くの種類があります。
そのため、トラクターを導入したものの、「どのアタッチメントを選べばよいのか分からない」と悩む方は少なくありません。
適切なアタッチメントを選ばなければ、作業効率を上げることはできません。この記事では、トラクター用アタッチメントの種類や用途、選び方のポイントを詳しく解説します。
トラクター用アタッチメントとは

トラクター用アタッチメントは、トラクターに取り付けて使用する農業機械の総称です。
アタッチメントを使用すれば、トラクター1台でさまざまな農作業を効率的に行えます。アタッチメントの種類は多岐にわたり、以下のようなシーンでの活用が可能です。
- 耕うん
- 整地
- 播種
- 除草
- 収穫
アタッチメントを上手に活用すれば、人力では困難な作業も短時間で行えるようになるほか、農作業の省力化や効率化を実現できます。
トラクター用アタッチメントの種類と用途

ここで、トラクター用アタッチメントの種類と用途を詳しく解説します。
プラウ
プラウは、土を深く耕す際に使用するアタッチメントです。主に畑作で使用され、土壌を反転させて地中の養分を表層に持ち上げます。
使用することで土壌の通気性や排水性が向上し、作物の根の張りが良くなります。また、雑草の種子や病害虫を地中に埋め込めば、防除効果も得られるでしょう。
形状や大きさはさまざまで、土壌の状態や作物の種類に応じて選択するのが一般的です。深耕作業に適しているため、新しい畑の開墾や土壌改良にも効果が期待できます。
ロータリー
ロータリーは、トラクター用アタッチメントのなかで最も一般的なタイプです。
回転する爪(ナタ爪)で土を砕き、混ぜる作業を行います。主に耕うんや整地作業に使用され、土壌を細かく砕いて、種まきや植え付けに適した状態に整えます。
作業幅や爪の形状はさまざまで、土壌の状態や作物の種類に応じて選択が可能です。また、PTO軸の回転数を調整すれば、土の砕き具合を調整できます。
ロータリーは汎用性が高く、畑作や水田など、さまざまな場面で活用されています。
フロントローダー
フロントローダーは、トラクターの前方に取り付けるアタッチメントです。
主に土や堆肥、飼料などの運搬作業に使用されます。バケットと呼ばれる容器部分を油圧で上下させ、物資の積み込みや荷下ろしを効率的に行えるようにします。
使用すると人力では困難な重量物の運搬作業が容易になり、作業時間の短縮や労力を軽減できます。
また、バケットの形状や大きさを変えると、除雪作業や整地作業にも活用でき、農場の多目的作業機として重宝されています。
サブソイラー
サブソイラーは、土壌の深層部を耕すためのアタッチメントです。主に硬盤層(耕盤)の破砕や、深層部の通気性・排水性の改善に使用されます。
鋭利な爪(シャンク)を地中深くまで差し込み、土壌を持ち上げて亀裂を入れる働きをします。これにより、作物の根が深く伸びやすくなり生育が促進されます。
また、土壌の透水性が向上すれば湿害の防止も期待できるでしょう。
土壌の物理性改善に大きな効果があるため、定期的な使用が推奨されています。特に長年同じ作物を栽培している畑や、重機の走行で土壌が締め固められた圃場で効果が期待できます。
ハロー
ハローは土壌の表面を平らにして、細かく砕くためのアタッチメントです。主に、播種や植え付けの前の整地作業に使用されます。
ディスクハローやスプリングハローなどの種類があり、土壌の状態や作業目的に応じて選択します。
ディスクハローは、円盤状の刃(ディスク)が回転しながら土を砕き、混ぜる働きをするタイプです。スプリングハローは、バネ状の爪が振動しながら土を砕きます。
ハローを使用すると、土塊を細かく砕き表面を均一にできるため、種子の発芽率向上や作物の生育促進につながります。また、雑草の種子を表層に出せば発芽を促し、除草効果も期待できるでしょう。
マルチ
マルチは、畝の表面をビニールやフィルムで覆うためのアタッチメントです。
主に野菜や果樹の栽培で使用され、土壌の保温や水分保持、雑草抑制などの効果があります。マルチアタッチメントを使用すると、手作業では時間のかかるマルチ張り作業を効率的に行えます。
マルチの素材や色は、作物や目的に応じて選択するのが一般的です。透明マルチは地温上昇効果が高く、黒マルチは雑草抑制効果に優れています。
マルチ張りと同時に点滴チューブを設置できるタイプもあり、灌水作業の省力化にも貢献します。
マルチの使用は、作物の生育促進や品質向上、収穫期の前進化などにも効果があり、高品質な農産物の生産に欠かせない技術です。
畝立て機(うねたてき)
畝立て機は、畑に規則正しく畝を作るためのアタッチメントです。
主に野菜や花卉の栽培で使用され、作物の生育に適した環境を整えるために重要な役割を果たします。使用すると均一な高さと幅の畝を効率的に作れるほか、手作業に比べて大幅な時間短縮が可能です。
また、畝の形状は作物の種類や栽培方法に応じて調整でき、平畝や高畝、マルチ畝などさまざまな形状に対応できます。畝立てと同時に施肥や播種を行えるタイプもあり、作業の効率化に貢献します。
適切な畝立ては、作物の根の発達を促進し、排水性の向上や土壌温度の調整に最適です。高品質な農産物の生産には、欠かせない作業といえるでしょう。
畦塗り機(あぜぬりき)
畦塗り機は、水田の畦(あぜ)を補修・整備するためのアタッチメントです。
主に稲作で使用され、水田の水管理に欠かせない役割を果たします。使用すると畦の亀裂や崩れを修復し、水漏れを防ぐことができます。
また、畦の表面を滑らかに仕上げれば、除草作業や管理作業が行いやすくなるのが特徴です。
回転式やスクリュー式などさまざまなタイプがあり、畦の状態や作業条件に応じて選択します。なかには、畦塗りと同時に除草剤を散布できるタイプもあるため、作業の効率化に貢献してくれるでしょう。
適切な畦塗り作業は水田の水管理を容易にして、稲の生育環境を整えてくれます。さらに、農道としての機能も向上させるため、稲作農家にとって欠かせない作業です。
播種機(はしゅき)
播種機は、種子を効率的かつ均一に播くためのアタッチメントです。
主に穀物や野菜の栽培で使用され、手作業に比べて大幅な時間短縮と労力を軽減できます。種類は条播機や散播機などさまざまで、作物の種類や栽培方法に応じて選択するのが一般的です。
メリットは一定間隔で種子を播けるため、栽培管理や収穫作業が行いやすくなる点です。加えて、種子を広い面積に対して均一に散布できます。
最新の播種機では、GPSを利用した精密播種が可能なものがあり、種子の無駄を減らし、発芽率の向上にも貢献してくれます。
フレールモア
フレールモアは、草刈りや残渣処理に使用するアタッチメントです。主に、牧草地や果樹園、休耕地などの管理に使用され、高い刈取能力と粉砕性能を持っています。
回転軸に取り付けられた多数のフレール(刃)が高速回転して、草や枝を細かく粉砕します。これにより刈り取った草や枝をその場で細かく砕けるため、別途回収する必要がありません。
また、石や小枝などの異物があっても破損しにくく、安全性が高いのも特徴です。
作業幅や刃の形状、取り付け方法などさまざまなタイプがあり、使用目的や条件に応じて選択します。適切に使用できれば圃場の管理作業を効率化できるほか、雑草の抑制や土壌改良を実現できます。
ブロードキャスタ
ブロードキャスタは、肥料や種子を広範囲かつ均一に散布するためのアタッチメントです。主に穀物や牧草の栽培、果樹園や畑作の施肥作業などで使用されます。
ホッパー(貯蔵部)から供給される肥料や種子を、回転する散布板(ディスク)の遠心力を利用して広範囲に散布できます。
これにより、短時間で広い面積に均一に散布できるため、作業効率が大幅に向上します。
最新のブロードキャスタでは、GPSを利用した可変施肥が可能なものがあり、圃場の状態に応じて散布量を自動調整可能です。
散布幅や散布量の調整が容易で、さまざまな作物や肥料に対応できるのも特徴です。
適切なブロードキャスタの使用は肥料の無駄を減らし、作物の生育を均一にできます。その結果、収量や品質の向上につながるでしょう。
カルチべーター
カルチべーターは、中耕や除草作業に使用するアタッチメントです。主に畑作や野菜栽培で使用され、作物の生育期間中の土壌管理に欠かせない役割を果たします。
特徴は、複数の爪(タイン)が土壌表面を軽く耕すことで、雑草の除去や土壌の通気性改善を行える点です。これにより、作物の根の発達を促進し生育を助けます。
また、土壌表面の撹拌により水分の蒸発を抑制し、保水性を高める効果もあります。
カルチべーターは作物の種類や栽培方法に応じて爪の形状や配置を調整できるため、さまざまな条件に対応できるのが魅力です。
適切に使用できれば除草剤の使用量を減らせるほか、環境に優しい栽培方法を実現できます。
収穫機
収穫機は、作物の収穫作業を効率的に行うためのアタッチメントです。作物の種類によってさまざまな形態があります。
- 穀物用のコンバイン
- イモ類用の掘取機
- 果樹用の振動収穫機
使用するメリットは、手作業に比べて大幅な時間短縮と労力の軽減が可能になり、大規模農業や効率的な生産を実現できる点です。
例えば、コンバインは刈取り、脱穀、選別を一度に行えるため、穀物の収穫作業を大幅に効率化します。
また、イモ類の掘取機は土中のイモを掘り起こし、土を振り落として収穫する作業を自動化します。
ただし、収穫機を選択する際は、作物の種類や栽培規模、圃場の条件などを考慮しなければいけません。
適切なものを使用できれば、収穫作業の効率化だけでなく、収穫物の品質維持を実現できるでしょう。
ロールベーラ
ロールベーラは、牧草や稲わらなどを円筒形の梱包(ロールベール)に成形するアタッチメントです。主に畜産農家や酪農家で使用され、飼料の調製や保存に重要な役割を果たします。
特徴は、刈り取った牧草や稲わらを拾い上げ、圧縮しながら巻き取ることで、密度の高い円筒形の梱包を作る点です。これにより、飼料の保存性が高まり、長期保存ができるようになります。
また、運搬や保管が容易になるため、作業効率の向上にもつながります。
最新のロールベーラは、梱包密度や大きさを調整できるタイプやラッピング機能を備えたものもあり、より高品質な飼料調製が可能です。
トレーラー
トレーラーは、農作物や資材の運搬に使用するアタッチメントです。トラクターに連結して使用し、圃場内や農場内での物資の移動に欠かせない役割を果たします。
特徴は大容量の荷台を持ち、さまざまな形状や大きさの荷物を効率的に運搬できる点です。荷台の形状は、平床式やダンプ式など用途に応じて選択できます。
ダンプ式トレーラーは荷台を傾けて荷下ろしができるため、土砂や堆肥の運搬に最適です。また、側板の着脱が可能なタイプもあり、積載物に応じて柔軟に対応できます。
トラクター用アタッチメント選びのポイント

ここでは、トラクター用アタッチメント選びのポイントを詳しく解説します。
使用目的にあったアタッチメントを選ぶ
トラクター用アタッチメントは、使用目的に合ったものを選びましょう。自分の農作業の内容や頻度、栽培する作物の種類などを考慮すべきです。
例えば、畑作中心の農家であれば、プラウやロータリー、播種機などが必要になるでしょう。一方、畜産農家であれば、ロールベーラやフロントローダーなどが欠かせません。
トラクターの構造にあったリンクを選ぶ
トラクター用アタッチメントは、自分のトラクターの構造に合ったリンクを持つものを選びましょう。トラクターとアタッチメントの接続方法には、主に3点リンクとドローバーヒッチがあります。
3点リンクは、トラクター後部の上下2本のリフトアームと1本のトップリンクで接続する方式で、多くのアタッチメントに対応しています。
一方、ドローバーヒッチはトラクター後部の1点で接続する方式で、主にトレーラーなどの牽引用アタッチメントに使用されます。
自分のトラクターに適合するリンク方式とカテゴリーを確認し、最適なアタッチメントを選べば、安全で効率的な作業を実現できるでしょう。
馬力や重量とのバランスを考慮する
トラクター用アタッチメントを選ぶ際は、トラクターの馬力や重量とのバランスを考慮すべきです。
アタッチメントが大きすぎると、トラクターの馬力不足で十分な性能を発揮できませんが、小さすぎると作業効率が悪くなります。
アタッチメントの必要馬力は、トラクターの定格出力の60〜80%程度が適切です。また、重量バランスも考慮しつつ、必要に応じてウエイトを追加してバランスを調整しましょう。
適切なバランスのアタッチメントを選べば、安全で効率的な作業ができます。
まとめ
トラクター用アタッチメントは、農作業の効率化と省力化に欠かせません。
適切なアタッチメントを選べば、作業時間の短縮や労力の軽減、作物の品質向上など、さまざまなメリットを得られます。
ただし選択する際は、使用目的、トラクターの構造、馬力や重量とのバランスなど、多くの要素を考慮しなければいけません。
これらのポイントを押さえ、自分の農業経営に最適なアタッチメントを選びましょう。
株式会社サンセレクトジャパンでは、トラクターをはじめ、コンバインやマニュアスプレッダー、ロールベーラなど、さまざまな中古農機具を販売しています。
豊富な在庫のなかから、ぴったりな農機具をお探しいただけます。農機具をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。